映画『ロード・オブ・ウォー』

世界の裏の成り立ちを、エンターテイメントに昇華しつつ判りやすく私たちに教えてくれる映画。

偽善を大手に振って強引に押し通すアメリカは国の成り立ちからしてそうだが、武器販売に関しても同じだね。合法違法を問わず武器を世界中にばらまいて殺し合いを拡大させているのが5カ国の国連常任理事国。

資本主義が過剰に生産したものを、最大に消費するのが戦争とのことらしいが、この映画は戦争の準備段階を描く。大量生産→流通→大量消費、その流通を武器商人が担う。ニコラス=ケイジが演じる主役の武器商人ユーリーがこの商いに手を染めることになるのは、武器もただの商品にすぎないことに気付くからだが、キャピタリズムの観点から物事を考えることの多い私には激しく得心のいく話であった。

映画『ガタカ』以来イーサン・ホークは好きな役者。彼の演じるバレンタイン刑事の視点から見ると武器を違法にばらまきづつける武器商人は悪の中の悪となるだろう。

脚本のアンドリュー=ニコルは、『シモーヌ』『ガタカ』の監督、『トゥルーマン・ショー』の脚本と、すべて私の好きな作品。時代を批判するのに決してしかめっつらで行う必要は無いと教えてくれる。