横浜美術館『アイドル』

9日、土曜日の夕刻。雨模様とはいえ、隣のランドマークタワーは人で満ちているのに、人が少なめの美術館。

企画自体はなかなか楽しめた。とは言っても、アイドルの定義を拡大しての展覧会なため、アイドルという言葉から想定される範囲を大きく超えている内容だった。例えばKATHYの映像作品は一体どこがアイドルなのかまったく理解できないが、モダンアートとして最初から最後まで脳を揺さぶられる体験ができた。もし、ダンスの分野でのアイドルを捜せと言えば、真っ先に思いつくのは宝塚のスターだろう。ゲームのオシャレ魔女 ラブ and ベリーや、少女漫画のきらりん☆レボリューションなどの展示は、私にはよくある美術館の体験に過ぎなくなっているが、まだまだ美術館のイメージに捕らわれている人には意外性があるだろう。川島秀明の印象深い画なども良く、全体としては意欲的で挑戦的な企画展だと思う。

横浜美術館の常設展は、質量に関してはそれなりに良さそうなのだが、あまりにも雑多な内容なため、同じガラスケースに市松人形とアンティークドールを一緒に詰め込んで飾ってあるような無理のある展示な感である。だからといって、質の高い作品を退蔵するのももったいない話ではあるが。

カフェは、大きなフード付きの照明が美術館らしさを演出し、使い勝手も良さそうだった。

横浜美術館