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手許に残る古い記録によると、このようなカードを作りたいと考えたのは、1998年のことです。まず、私が、完全に無地なカードをほしかった、使いたかった。それがすべての始まりです。その後、西ヨーロッパをバックパックで旅行・見聞していた時、よくステーショナリーの店鋪を訪れましたが、このようなカードはありませんでした。もしヨーロッパで販売されていたら、私は自分で作ろうとはしなかったでしょう。けれど、無かったわけです。

2000年10月、初めて印刷会社とコンタクトをとり、The Moderns(当時は、ultimate modernとしていましたが、2001年に変更)のカード作成を具体的に進めはじめました。 この時、私が考えていたのは、色は網点により濃度を変えてグラデーションを表現する、紙はケナフ紙、という内容でした。しかし、色のグラデーションを表現するのに、特色という選択肢があることを、印刷会社とのファーストコンタクトで知り、特色を使っての印刷に方針が変わる事になりました。

特色ですから、当然、色を指定しなければなりません。きちんとしたグラデーションをどう決めるのか、それを研究する時期がしばらく続きます。さまざまな文献をあたり、色の世界を探究することになりました。インキのカラーチャートからドイツのカラーシステムDIN6164の英文資料(ドイツから取り寄せました)まで、必要なものを揃えてゆきました。

また、竹尾の紙見本帳を手に入れ、紙の種類が世界有数の日本においても、シンプルに色のグラデーションを構成する紙が無いことがわかりました。

色が決まった後、見本の印刷をする事になります。2回、見本を実際の印刷機で刷り、色と紙との具合を確かめました。見本を校正機で印刷し原稿をチェックするのが普通ですが、校正機の印刷物は実際に印刷される色とは異なるため、実際の印刷機を使用して見本を刷ったわけです。

2回目の見本印刷の時は、青の大豆油インクの特色3色と、ケナフ100GAを使いました。実際のThe Modernsのカードとなるものと全く同じ素材です。青で見本を印刷した理由は、青の色を出すのがもっとも難しいとのことだからです。
この段階で、大変満足できる結果になりました。

念には念をいれて準備を重ね、2001年9月28日、印刷するに到りました。

(2001.9月から10月にかけて印刷と断裁)