1933年(昭和8)11月:少女歌劇十一月公演番組

(一)小公女

英國武官クルウ大尉は 印度に在住してゐましたから 一人娘のセエラの敎育を ロンドンのミンチン女學校長ミンチン女子に托しました ミンチン女子は クルウ大尉が大財家であることを知つて居りましたから 他の女生徒とは比較もできぬ程 セエラを特別に優遇して 丸で 王女樣のやうに扱つて居りました ところが セエラの誕生日のおいの最中に クルウ大尉の代理人バアロウが訪ねて來て 大尉は印度で無一文になつて客死したことを告げ知らせました ミンチン女子の態度は こゝで一變して その日から セエラを小使娘のベツキーと共に 屋根裏に住はせました 昨日の王女様は一轉して 今日は小使娘として酷使せられるやうになりました

この有樣を窓越しに注意して見てゐた 隣家の印度人は大さう同情して 人知れず食物や 色々の品をり 二人を驚かせて居りましたが 偶然のはずみに とうどうそれが露顯いたしました この印度人の主人の紳士は 實はクルウ大尉の友人でありまして 大尉の遺を一人娘に渡さうと 方々尋ね廻つてゐたことが分り 哀れな小使娘は 再轉して もとの王女樣のやうな生活にかへります

(二)忠臣蔵

扨 今月の地の卷へ入つて やうやく忠臣藏らしくなつて參りました

劈頭 安さんの婿入りから

殿中刄傷—注進—切腹—城殉死と本筋を縫ひいよいよ由良之助が復讐を誓つて 山科へ退轉 勘平のエピソードがあつて—京一力の豪遊—同じく松並木に於ける村上喜劍との出合まで

早籠 早馬のめまぐるしさ

一角 お艶 隼人 怪? 西に東に活躍です

(三) 日本・支那・滿州

日淸戦役!

滿州事變!

日本と支那と滿州を レヴユー風にスケッチする

滿州建國の歌

東の空に黎明の

光射し出で滿蒙の

闇の天地は今明けぬ

聲高く勇ましく

生まれし男の子よ滿州國

若き生命の惠まれて

希望の歡喜たゝへつゝ

平和の樂土築くべく

久遠の理想ふりかざし

伸びよ男の子よ滿州國

十一月プログラム

〔一〕歌劇 小公女 四幕六場

バアネツト女史原作

山本謙三脚色

だるま屋少女歌劇部補修

序曲 エミリーの唄

歌手及踊り子  御船明子

        鈴波京子

                                        桃園蘭子

        若路雅子

        霞浦子

第一幕 運動場

女生徒アリス  夕月照子

同 アローラ  芳野?美子

同 ロツテイ(泣き虫で母のない子) 越路由紀子

同 ゼツシイ(意地のわるい子)  櫻木美奈子

同 ラヴイニア(意地のわるい子) 泉澄子

同 フエミー  濱眞砂子

同 ナンシー  霧野順子

同 ガアド(頭のわるい子)  花丘美智子

ミンチン女史(ミンチン女學校長) 千草麗子

セエラ(英國武官クルウ大尉の娘) 春日陽子

第二幕 誕生日

女生徒アリス  夕月照子

同 アローラ  芳野?美子

同 マツチー  御船明子

同 ゼツシイ  櫻木美奈子

同 ラヴイニア 泉澄子

同 フエミー  濱眞砂子

同 ナンシイ  霧野順子

同 ロツテイ  越路由紀子

同 マリエル  桃園蘭子

同 ポーラ   若草雅子

同 ヘスター  霞浦子

ミンチン女史  千草麗子

セエラ     春日陽子

アメリア嬢(ミンチン女史の妹) 桂木妙子

ベツキー(學校の小使娘) 彌生伶子

バアロウ(クルウ大尉の代理人) 如月冴子

第三幕 屋根裏御殿

ミンチン女史  千草麗子

セエラ     春日陽子

ベツキー    彌生伶子

ガアド     花丘美智子

印度人(隣家の召使)  秋月小夜子

第四幕 屋根裏御殿

セエラ     春日陽子

ベツキー    彌生伶子

印度人     秋月小夜子

印度紳士(クルウ大尉の友人)  筑紫光子

ミンチン女史  千草麗子

アリス  夕月照子

ガアド     花丘美智子

ロツテイ    越路由紀子

アメリア嬢   桂木妙子

ゼツシイ  櫻木美奈子

ラヴイニア 泉澄子

終曲 プリンセスセエラの唄

踊り子    

       芳野?美子

       御船明子

       濱眞砂子

       鈴波京子

       霧野順子

       桃園蘭子

       若草雅子

       霞浦子

印度紳士   筑紫光子

印度人    秋月小夜子

セエラ    春日陽子

ガアド    花丘美智子

ベツキー   彌生伶子

ロツテイ   越路由紀子